お彼岸法要
お彼岸にはできるだけ家族そろってお墓参りしましょう。
お墓参りに特別の作法はありません。墓石をきれいに洗い、お墓の周囲も掃除して花や線香をたむけ、 お菓子などもお供えします。
そして合掌礼拝の前に水桶からたっぷりと水をすくい、墓石の上からかけます。水をかけるのもお布施の一つです。
お墓参りには、数珠・線香・ローソク・マッチ・花・菓子・果物・半紙・水桶・柄杓・たわし・ほうき・雑巾などを用意しておくと良いでしょう。
また、家庭では仏壇を掃除し、新しい花、それに牡丹餅・おはぎ、お彼岸団子などをお供えします。
お寺では「彼岸会」の法要がお彼岸の期間に営まれます。
「彼岸会」は春分と秋分の日を中日として、前後の3日ずつ計7日の間に行われる法会のことです。
これは、日本だけに見られる独特の文化です。
「彼岸会」では、読経や法話などが行われますので、お墓参りの折りにはお寺の彼岸会にも参加してご供養をお願いしましょう。
もし、忙しくて時間がない場合でも、本堂のご本尊へのお参りとご住職への挨拶はかかさないようにしましょう。
日本で最初に彼岸法要(讃仏会)が行われたのは今から約1200年前のことで、諸国にあった国分寺の僧侶が春と秋の2回、中日を挟んで前後3日間の計7日間にわたり仏を讃えお経をあげたと伝えられています。
江戸時代に年中行事化したといわれており、それから、しだいに一般の人にも、お彼岸の法要をして供養することが広まっていったようです。
彼岸という言い方は「到彼岸」を略したものです。
これはインドで使われている言葉のひとつサンスクリット語の「パーラミター」(波羅蜜多)を訳した言葉 で、文字通り彼岸へ到達するという意味です。
彼岸とは悟りの世界を意味し、迷いや苦悩に満ちたこちら側の岸(此の岸)に対して、あちら側の岸(彼の岸)、 つまり極楽浄土のことを指しているのです。では、どうしたら極楽浄土の岸へ渡れるのでしょうか?
仏教には六波羅蜜の教えというのがあります。
こうした徳目は本来なら毎日心がけるべきなのですが、日頃は忙しくてなかなか実行できないのではないでしょうか。
そこで、せめて春と秋、年に2回くらい は実践しようというのが、お彼岸法要の意味です。
お彼岸には、ご先祖様のお墓にお参りし感謝と冥福を祈るとともに、六波羅蜜の教えを実行したいものです。
お彼岸は年2回、春分の日と秋分の日を中日にして営まれますが、中日には太陽が真東から出て真西に沈みます。そこから、この日に夕陽を拝むということは、 西方にある浄土に向かって拝むことになると言われています。そこで中日に夕陽を拝むと特に功徳があると考えられているのです。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言 われているように、お彼岸が来ると最も過ごしやすい季節になります。きれいな夕陽が拝めるように中日が晴れるといいですね。
「ぼたもち」と「おはぎ」は、お彼岸のお供えにはかかせないものです。
両方とも、蒸した餅米とアンコの同じ素材でつくられる食べ物ですが、季節の花になぞらえて、違う言いかたをされます。
春は、牡丹の花になぞらえて「牡丹餅」。秋は、萩になぞらえて「お萩」と言います。
ですから、季節感も一緒に味わいながら牡丹餅やお萩をいただきましょう。